『ゲゲゲの鬼太郎』で有名な、水木しげるの『総員玉砕せよ!』を読み終わったので、感想を書きます。
漫画なのですが、私はとっても衝撃を受けました。
酷い戦争体験の話です。
酷くて辛くて
理不尽さ、不条理さに満ち溢れています。
そんな辛い話なのですが、戦争に実際に行った人が、漫画という形で戦争体験を描いた稀有な作品なので、まだ読んでいない人は、ぜひ一度、読んでみてください。
今も世界のあちこちで戦争が行われ、この漫画に書かれているような状況が繰り返されているであろうことを思うと、とっても考えさせられる作品です。

この本は1年ほど前に、何かで書評を読み電子書籍として購入していました。
でも、買ったはいいけど、なんとなく気が重くて読んでいませんでした。
しかし、読み始めると一気でした。
話の冒頭から、従軍慰安婦のところに兵隊さんが行列を作っているという衝撃なスタート。
そして、命が軽い。
とっても軽い。
兵隊さんたちは
丸太の下敷きになり
ワニに食べられ
魚をとりにいって魚を喉に詰まらせ
戦闘とは全く違うところで、どんどん死んでいきます。
もちろん、戦闘でもたくさん死にます。
そんな普通に人が死んでいく中、兵隊さんたちは、大東亜共栄圏的な思想とは関係なく、日々の食事など、目先のことのみ考えて、日常を送っています。
これが水木さんが体験した、戦争なんでしょう。

水木さんと思われる主人公は、下っ端の兵隊さんで新兵さん。
しょっちゅう上官に殴られています。
彼らは戦争の全貌も何もわからないまま、日本を遠く離れた南方の島の戦場に放り込まれ、よくわからないまま、いろんな作業や行軍を命じられ、毎日のように殴られ、そしてついには玉砕を命じられる。
私が一番怖かったのは、加山二等兵が雨の中、腹部を打たれるシーン。
撃たれた加山の元に、衛生兵と丸山(水木さん)が駆けつけ、まだ息のある加山の小指をスコップで(!)切断します。
敵に遺体を処理される前に、遺族に渡すための遺骨を確保するためなんですが・・・。
それは、そうなんだけど
まだ、倒れた兵隊さん、生きてるんでるよ!!!
まだ生きているのに、遺骨を無理やり確保して、その直後に放置して行ってしまう。
そして、大雨の中、倒れた加山が
『おめえたちゃあ、行っちまうんか」と呟く。
小指のない手がピクピク動く。
怖いですよね。
衝撃です。
でもこれが戦争の現実なんでしょうね。
/こんな感じの絵柄です/

本のあとがきに
この『総員玉砕せよ!』という物語は、90%は事実です。
ただ、参謀が流弾に当たって死ぬことになっていますが、あれは事実ではなく、参謀はテキトウな時に上手に逃げます。
とあります。
上の人はずるく立ち回り、何も知らされず、何もわからない人たちが、次々と死んでいく、この不条理。
同じくあとがきに
軍隊では兵隊と靴下は消耗品といわれ、兵隊は”猫”くらいにしか考えられていないのです。
将校、下士官、馬、兵隊と言われる順位の軍隊で兵隊というのは”人間”ではなく馬以下の生物と思われていたから、ぼくは、玉砕で生き残るというのは卑怯ではなく”人間”としての最後の抵抗ではなかったかと思う。
戦争は、勝った方にも死者は出ます。
それを考えると、戦争には勝者はいない気がします。
ああ、戦争は嫌だ。
嫌だ、絶対に嫌だ。
世界のあちこちで、今も戦闘が行われています。
ニュースの向こう側で起きている出来事が、 この漫画のような現実かもしれないと思うと、 とても他人事とは思えません。
そして、日本の周りの状況も、 どこか不安定に感じることがあります。
正直、楽しい本ではありません。
むしろ、かなりしんどいです。
でも、 だからこそ、読む価値があるとも思います。
戦争を知らない私たちが、『想像する』ための材料として。
まだ読んでいない方は、 ぜひ一度、手に取ってみてください。
ではでは
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