職業柄(一応、心理職)、発達障害の本はいろいろ読んできました。
発達障害の分野は、日々、アセスメントもサポートも進歩しているので、書店で興味深いそうな本は手に取ることが多いです。
そんな発達障害に関する本は読みなれている私ですが、今回読了したカレー沢薫さんの『なおりはしないが、ましになる』1巻&2巻は、かなり衝撃的でした。
なんといっても絵柄!
インパクト大です。
この本、インパクトだけでなく、十人十色な発達障害の難しさが笑いとともに書かれているいい本だと思いました!
大人の発達障害の大変さ
著者のカレー沢さんは、大人になって(30代後半で)不注意型ADHDとASD(自閉スペクトラム症)の傾向ありと診断されます。
『なおりはしないが、ましになる』では、地方から東京の病院に飛行機で通院されつつ、ダンナ様との生活を維持しつつ、漫画家の仕事をしつつ、という日常がつづられています。
一つのことしかできない
空気が読めない
など、数々の困りごとの原因を探るべく、検査を受けて発達障害と診断されたわけですが
診断が出て『よかった~』ということはなく、日々、困りごとに対応しながら少しでも生きやすい生活を模索していっているお話です。
カレー沢薫さん、大人になってから医療機関にかかたっということで、特に社会人になってからは、仕事(OLをしてらした)や人間関係のトラブルも多く経験し、2次障害もかなり深刻そうな感じです。
シビアな内容だが笑える、というかシュール?
まあ、シビアな内容のはずなんですが、こんなユニークすぎる絵柄で
暗さ、深刻さを感じさせません。
かといって、内容はいいかげんかというとそうではない。
いろいろ関係本を読んできた私からみても、おさえるところはおさえられており、主治医の先生のコラムもポイント、ポイントであり、ちゃんとしています。
『発達障害』は名前としては知れ渡っていますが、人それぞれで症状というか困っているところや、生きやすくなる対処方法も違う、一筋縄ではいなかないもの。
そのあたりが、暗くならずにとっても分かりやすく表現されていると思います。
わたし、とっても分かりやすかったです
カレー沢さんのツッコミが好き♡
そして、私が好きなのが、カレー沢さんのつっこみ。
主治医の先生が
カレー沢さんが
仕事に集中できず、
部屋が汚く
すぐに物をなくしたり・・・
協調性がなく
空気を読めない発言で場を乱すのは、
発達障害の影響という
可能性は高いです。
引用元:『なおりはしないが、ましになる 1』P.63
とおっしゃるのに対して
お・・・おう。それ全部発達障害のせいにしていいのか?
と思ってみたり
『同じものでも、見方を変えれば、別のものにみえる』
という例示で
よくある説明
たとえば
砂漠に取り残され
コップ半分の水しかない
という状況で、
『コップ半分しかない』
と考えたら絶望的な
気分になりますが。
逆に
『まだ半分もある』と
考えれば、
希望が湧いてくるでしょう。
引用元:『なおりはしないが、ましになる 1』P.84
といわれ
それはポジティブすぎんか。
と思ってみたり。
私も頭をよぎる内容のツッコミが多く、『そう思うよね~』と共感しきりでした。
\今、2巻まで出てます/
おわりに
カレー沢さんが、アドバイスを受けながらいろいろ工夫しているところも、具体的にたくさん出てきており、とっても興味深く読めました。
まさに、『なおりはしないが、ましになる』を目指して、試行錯誤している感じです。
発達障害の診断基準などをみると、私自身、あてはまるかなと思う項目がいくつもあったりします。
私は人付き合いも、全方位的とはまったくいかず、かなり濃淡がある方。
できるなら、PTAなどの付き合いは避けたいタイプです。
カレー沢さんはお子さんはいらっしゃないようなので、PTAの話はないですが、町内会役員の話などが出てきて、『ああっ、私がPTAで苦闘していたときと似ている!!』と笑わせてもらいました♪
特に社会生活に支障なく暮らしている定型発達(発達障害ではない人)の人でも、共感できる箇所が、きっとあると思います。
また、十人十色な発達障害に対する理解も、笑いながら深まるんじゃないかな。
気軽に読めてなかなか内容の濃い本でした!
今、1巻と
2巻がでてます。まだ、連載は続いているので3巻もそのうち出るか!?