シングル&ワーキングママのぽんちゃん日記

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【薬物依存症】そのメカニズムや身体・精神への影響について考える。

先日、元タレントのTさんが、違法薬物所持の現行犯で逮捕されたニュースが日本中をかけめぐりました。逮捕は5度目とのことです。

 

Tさん逮捕のニュースをみて、もう10年以上前になりますが、薬物依存症からの回復支援についての勉強会のようなものに、一時期ですが参加していたことを思い出しました。その時に、かつて薬物を使用していて、その後、ダルクなどの回復支援施設でスタッフとして働いている方々からも、いろいろお話をうかがいました。

 

当時から、違法薬物使用を繰り返すのは、自分の意志の問題ではない病気としての治療が必要といわれていましたが、今回のTさんの逮捕報道をみて、改めてその気持ちを強くしました。

 

そこで今回は、依存のメカニズムや身体・精神への影響について、ごく基礎的なものですが知識を押さえておきたいと思います。

 

知識があまりないと、有名人・著名人が逮捕され、社会問題として薬物依存に関心が高まっても、漠然と「薬物を使用した人は怖い」とだけ思い、そういう人たちを安易に排除する方向に向かいがちだと思うからです。薬物の問題を考えたり、語ったりするにしても、知識はやはりあったほうがいいと思います。

社会に蔓延する薬物の問題とどう向き合うか、みなさんが考える際の一助になればうれしいです。

 

 

薬物依存症とは何か?

 定義はいろいろありますが、わたしが一番分かりやすかった説明は、

「自分でやめよう、あるいは控えようと決意するにもかかわらず、何度も失敗してしまい、もはや薬物の使用が自分の意志ではコントロールできない状態」(松本俊彦先生)です。

 

なぜ、そのような状態になるのか。

覚せい剤に限らず、中枢神経系に作用する薬物に常習性があるのは、脳内にある神経回路、快感の中枢報酬系」をダイレクトに刺激してドーパミンという快楽物質を分泌するからだといわれています。

 

ドーパミン自体は、スポーツや仕事、勉強で頑張って成果を出して、周りから称賛されても出るんでしょうが、こうした行為には、ドーパミンが出るまで、いずれも大変なプロセスがあります。

薬物の場合、脳にダイレクトに働くので、そうしたしんどいプロセスを経ずに、簡単に強い快感を体験してしまうのが、スポーツなどとの大きな違いです。

 

アルコール依存なども、同じように自分で使用や行為をコントロールできなくなるのが特徴で、やはり報酬系を刺激するからといわれています。

 

ただ、覚せい剤などの違法薬物は、脳へのダイレクトな作用はあるにせよ、一回でも使ったら依存症になって人生が終わりになるというのではありません。

確かに、一回でも使ったことのある人は、使ったことのない人に比べて、将来、依存症(自分の意志でコントロールできない状態)になるリスクはかなり高くなるといわれています。

でも、違法薬物を使ったことはあっても、依存症にならなかった人は、たくさんいるでしょうし、依存症になった人でも、立派に回復している人も、たくさんいます。

認知症の脳のイラスト(レビー小体型)

 

 

依存症になる人とならない人の違いは、なんなのでしょう。

 

依存は、脳と心をハイジャックされた状態とよくいわれます。

いろいろ説はあると思いますが、心に痛みを抱えて孤立した状態の人ほど、薬物に飲み込まれて依存症になりやすい、と最近の文献で目にすることが多いように感じます。

 

回復のために、支援機関や自助グループにつながるのがいいといわれているのは、そこで人とのつながりができ、孤立しにくくなるというのが、大きいのかもしれません。

 

では、薬物の身体へ精神への具体的な影響をみていきましょう。

内容は、主に覚せい剤の、身体&精神への影響です。

身体への影響もさることながら、精神への影響は甚大です。

 

身体への影響

 脳への影響

脳は何千億という神経細胞から成り立っていますが、薬物が作り出す有害な物質によって、この神経細胞が破壊されてしまいます。

後の項目に記載した精神症状も、薬物により神経細胞のネットワークが破壊されてしまったことによるものです。

 

心臓、血管、筋肉への影響

一度に大量の薬物を摂取した場合、心筋梗塞や脳内出血を引き起こして、死に至ることもあります。

また、腎臓などの臓器が障害を起こして、やはり死に至る病気を引き起こしたりもします。

 

薬物使用の過程でり患するリスクのある病気

注射器のまわし打ち(他の人との使い回し)などで、C型肝炎HIV感染症などにり患する場合があります。

 

C型肝炎は、肝硬変や肝臓がんになる確率が高い病気です。

インターフェロンなどの治療が広く行われていますが、この治療に入るためには、すべての依存性薬物をやめてkら1年以上たっていることがすすめられているようです。

治療薬の副作用により、フラッシュバックが起こることなどを防ぐためです。 

 

 

精神への影響

幻覚や妄想が出現する

人がいないのに声が聞こえる幻聴や、ないはずのものが見える幻視などの幻覚が出る場合があります。

また、警察に追われているのでは?誰かに命を狙われているのでは?といった妄想も出るときがあるます。

 

睡眠障害

アップ系の薬物であると、眠れなくなってしまうことがあります。

人は眠らないと、心や体の疲れはとれません。

眠らなくて大丈夫になるのは、薬物の影響により脳が間違った指令を出したためであって、疲れていないからではありません。

充分な睡眠をとらないと、どんどん疲労がたまっていきます

 

生活が怠惰になる

眠れないこととつながっているのですが、眠る時間に寝ないなど、不規則な生活をしていると、決められた時間にすべきことができなくなり、だんだん人との待ち合わせに遅刻するようになったり、会社に遅れていくようになってしまったりします。

判断能力も鈍り、薬物に大量の、生活できなくなるほどのお金をつぎ込んだりしてしまいます。

 

うつ状態が悪化する

薬物は気分を和らげてくれる場合も多いようですが、それはあくまで一時的で、薬物の効果が切れた後に、使用前より落ち込んだ気分になることも多いようです。

特に、もともとうつ状態の人が薬物を使用すると、自殺の危険性も高まるといわれています。

 

自分を傷つける

理性の働きが弱まるので、感情がコントロールできなくなります。特に、しんどい、つらい気持ちを抱えている場合(薬物に依存する人に多いです)、攻撃性となりそれが自分に向いたら、自分の体を傷つけるという行為に出てしまいます。

 

攻撃性が他者にも向く

感情がコントロールできず、攻撃性がほかの人に向いてしまう場合もあります。

そうなると暴力犯罪となってしまいます。

 

性格が変化する

いろいろな変化がありますが、無責任、情緒不安定、すぐにきれやすくなる、自己中になるなどの変化がある人が多いようです。

 

治療薬(処方薬)の効果を弱める 

 お医者さんから処方された薬の効果を弱めたり、悪影響を与えたりし、うつ病不眠症の治療薬を飲んでも、いっこうに症状が改善しないという状況が生じます。

 

 

回復に向けて

 薬物依存症の回復には、なかなかそこまでたどり着きにくいとは思いますが、やはりダルク(DARC:Drug Addiction Rehabilitation Center) や各地のNA(Narcotics Anonymous)などの自助グループにつながるのがいいと思います。

 

そうした場所とつながるのがいいのは、「また、使いたくなった」あるいは「使ってしまった」と素直に言える場であるから、と言われています。

 

違法薬物に依存していると、どうしても孤立してしまいがちになります。

そうした中、家族など近しい人が何人かいたとしても、そうした人たちに、「使いたくなった」とでも言おうものなら、嘆き悲しみ、あるいは、怒り、いずれにしてもかなり強い反応が返ってくることが予想されます。

その点、ダルクやNAだと、周りが落ち着いて聞いてくれるので、話をしているうちに自分もそれなりに落ち着くようです。なかなか、そういう相談をして驚かない人って、いないですからね。

 

また、断薬を続けている先輩をみて、具体的に断薬したときの自分の姿がイメージできたり、新しくメンバーが入ってきたら、かつての自分を思い出して、気持ちを引き締めたりできるのもいいようです。

 

今回逮捕されたTさんの場合、ダルクのスタッフもされていたそうですから、そんな中での再使用は悲しい出来事です。

 

でも、一方でスリップ(再使用)を何度かしながら、断薬していく、つまりスリップは回復過程で折り込み済み、という面もあります。

 

 

 

おわりに

元タレントのTさんがどうだったかはわかりませんが、違法薬物の使用経験がある人は、私が話をした限られた中では、快楽を求めてというより、つらい現実、耐えられない苦痛を、一時的にでも忘れるために使っていた人が多かったように思います。

一見、その場の楽しさを求めているようで、ご本人もそう思っていても、依存についての理解が進むにつれ、自分の内面のつらいことから目をそらせようとしていた、という面に気付く、よくあるように思いました。

 

ティーンエイジャーで薬物に耽溺し、その後、20年ほど断薬していた人は、「はじめて違法薬物を使ったとき、「生きているってこういうことなんだ」と思った」とおっしゃっていたのが印象に残っています。その方はまた、「その時(10代のとき)、自分には、熱中して楽しめることも、信頼できる人も何もなかったんだと思う」ともおっしゃっていました。

 

アルコールは合法ドラッグといわれていますし、パチンコを代表とするギャンブルなど、合法であっても依存症になりうるものは身の回りにあふれています。

そうした意味で、依存症は身近な問題であると、私自身は感じています。

 今回の記事がみなさまのお役に立てば、うれしいです。

 

 

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