シングル&ワーキングママのぽんちゃん日記

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『繊細さん』についての気になる誤解。最近はやりのHSPだけど

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最近よく聞くHSP』(=Highly Sensitive Person)

環境からの影響を受けやすい人のことで、ネットや本などではよく『繊細さん』とも呼ばれています。

 

田村淳さん(ロンドンブーツ1号2号)、最上もがさんなど、有名人でも公表する人が増えており、急速に認知度が高まっているワードです。

要潤さんもツイッターで『HPSかも』と呟いていたのを、見た気がします。

 

わたしも臨床心理士公認心理師の資格があるので、書店で平積みされている繊細さん本を読んだりしていたのですが、HSPはいわゆる疾病や障害ではなく、あくまで環境から影響を受けやすい人を指す言葉なので、『これ、流行ってるんだ~』くらいにしか気にしていませんでした。

 

しかし先日、心理関係の研修で飯村周平先生のお話を聞いて、巷にあふれている、エビデンスに基づかない適当なHSPについての情報がもたらす罪も大きいなと思ったんです。

そこで今回は、私が特に気になったHSPについての誤解をピックアップしてご紹介します。

 

悪徳なHSP治療ビジネスや資格ビジネスも出てきているようなので、みなさん注意しましょう!

 

 

*この記事は、飯村周平先生(東京大学日本学術振興会PD)のお話から学び、私なりに理解したことの記録&個人的な意見です。

 

誤解①『繊細さんか、非繊細さんか』ではない?

 

『5人に1人がHSPといった表現を本でも、ネットでもよく見かけます。

 

これはHSPという心理学的概念を提唱した、米国の心理学者エレイン・N・アーロン博士の基準だと地球上の人口の15~20%、つまり約5人に1人はHSPであると考えられる、というところからきているのでしょう。

 

たしかに、アーロン先生の基準だとそうなんでしょう。

 

しかしこの表現だけが先行しちゃうと、5人に1人がHSPで残りの5人に4人が非HSP、つまり、『HSP vs 非HSP』と思ってしまう人もいるのではないでしょうか。

 

環境から影響を受けやすい(=環境感受性)の高い人・低い人は、はっきり分かれて(2グループあるように)存在するのではなく、連続体で正規分布のような形で分布しているといわれています。

 

こんな感じ(↓)

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感受性・低 ←   中   → 高

 

5人に1人という場合、上のグラフの右側20%に当たる部分がHSPということですが、そこで線を引くとしても、すぐ横にHSPとされない、でも同じくらい繊細な人が沢山いるということです。

 

最近の研究では、環境感受性上位30%程度(3~4人に1人)をHSPとみなすこともあります。

 

『繊細さんか、非繊細さんか』の分類は推奨しない研究者もおり、『HSP』『非HSP』の区別は絶対ではありません。

 

わたしも『繊細さんだから〇〇』、『繊細さんじゃないから△△』という線引きは、あまり意味がないように思います。

 

 

誤解②生きづらいというより、環境から影響を受けやすい人

 

HSP=生きづらい→ネガティブなイメージがあったり、一方で自分で自分は『繊細さん』という人の中には、自分は他と違い、ちょっと選ばれた人的なニュアンスで使う人もいるかもしれません。

 

HSPは本来の学術的な意味は、『生きづらい人』というのではなく、良くも悪くも環境から影響を受けやすい(=環境感受性が強い)人です。

 

ネガティブ、ポジティブということではなく、ワードとしてはあくまでニュートラル。

 

悪い環境から深刻な影響を受けて、生きづらい状態になっている人も多いとは思いますが、『生きづらさ』をあらわすラベルとしてHSPを使うのは違うんじゃないかと思います。

 

HSPの人は、悪い環境からは人一倍ダメージを受ける一方、良い環境からも人一倍、好ましい影響を受けます

 

ステキなお話を聞くと、人一倍感動し、周りの人の笑顔をみると、とってもうれしい。

そんな感受性豊かな人です。

 

良い環境で心豊かに過ごせるよう配慮が必要といえばそうですが、生きづらさと直結するわけではないでしょう。

 

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誤解③診断サイトでの自己診断は危険

 

ネットでちょっと調べただけでも、いろいろな診断サイトが乱立しています。

 

簡単な10~20個程度の質問に〇×式で答え、〇〇個以上該当すると『HSP』というものを多く見かけました。

 

しかも、それぞれ質問項目がサイトでかなり違い、けっこう独創的というか、個性的なものも多いです。

 

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先ほども書いたように、環境感受性の高い低いは、連続体でグラデーション。

ある診断サイトでHSPの可能性が高い』と診断されたとしても、ほぼ根拠はないでしょう。

 

そうした診断サイト、占い的に楽しむのだったら、全然いいと思うんですよ。

 

でも心配なのは、本当は発達障害うつ病など、支援が必要な疾患に至っていたり、障害だったりするのに、自分で(あるいは子供の親が)『繊細さんだから』と安易に判断してしまうことです。

 

大概の人は自分が『病気』や『障害』があるというのは、受け入れにくいものです。

 

それだから、そうした病気や障害を疑っても、HSPの基準に合致すると『HSPだったんだ』と安心して医療機関にいかない人もいるかもしれません。

 

しかし本当は障害や疾病があるのに、自分で『HSPで障害や疾病ではない』と信じ込んでしまったら、支援や治療が必要であってもそれが届かない場合があります。

 

それはとっても不幸なこと。

 

気になることがあるんだったら、一度は医療機関などで受診することをお勧めします!

 

 

誤解④HSPうつを磁気刺激療法(TMS)で治療は疑問

 

一部の医療機関では、HSPであるために生じたうつ症状を『HSPうつ』や『ブレインフォグ』といった造語を用いて、TMS治療(磁気刺激療法)を勧めるところも存在します。

 

HSPは病気ではなく、基本的に治療対象ではありません。

HSPをTMS治療で治す』ということは断言できるものではないでしょう。

 

HSP云々ではなく、ご自分の症状と照らしてお医者さんとしっかり相談し、あくまで治療の選択肢として考える程度の感じかと思っています。

 

 

 

『生きづらさ』に名前がついて安心する部分はある

 

ずっと『自分だけなんで?なんでこんなに生きづらいの?』と思っていた人で、『HSPだから』といわれ名前がつくことで、安心する人はたくさんいると思います。

 

さきほど、『生きづらさをあらわすラベルとしてHSPを使うのはどうか』と書きました。個人的にはそう思うのですが、一方で、名前がついて『安心する』というのはとっても重要なメリットかなとも思います。

 

HSPだからこんなにしんどいんだ』と安心したところで、そこで止まらず、そうした生きづらさを軽減していくために、生きづらさの背景にあるものに目を向けることが重要かなと思います。

 

例えば、『周りの人の様子が気になりすぎてめっちゃ疲れる』だと、周りとの境界線を引く練習をしたり、特に機嫌が悪い人がいると自分のせいではないかと超気になると思うので、『どうかされましたか?』と聞く練習をするなど、地道なことでもいろいろあるでしょう。

 

また、褒められると力がどんどん出てくると思うので、上手いこと褒めてくれる人を何人か確保しておいて、疲れたらそういう人のところに寄っていくとかね。

 

 

HSP関係の資格講座はどうか

 

この記事を書くにあたって、いろいろネットをみてみたのですが、『HSPカウンセラー』といった資格講座が、名前は違えどいくつも出てきました。

 

HSPについては、分かっていないことも多く、講座の内容をみると、どちらかというと発達心理学や一般的なカウンセリングのような内容も多いようです。

 

趣味で受講するのは、何であれ学ぶことは楽しいのでいいと思います。

中には、一般的な心理学講座として内容が整ったものもあるかもしれません。きっとあるでしょう。

 

でも、『HSPカウンセラー』は公的な資格ではありません。

詳しい人はいるでしょうが、専門のカウンセラーも聞いたことはありません。

 

短期間の講座だけでサービスを提供してお金を得るようになるのは、まず無理でしょう。

受講自体にお金がかかるので、そのあたりをしっかり押さえたうえで対応されることをおすすめします。

 

治療にしても資格取得にしてもスピリチュアル系のものにしても、悪質なHSPビジネスにひっかからないように注意してくださいね!

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪