昨日のNHKのニュースで、コロナが今の日本よりも厳しい状況にあるフランスの看護師さんへのインタビューが放映されていました。
その看護師さんは、コロナの問題が顕在化した今年の初めころから、急な出勤要請にもできるだけ応じてきて、仲間の看護師さんが退職するなど厳しい状況が続いても、頑張ってきたそうです。
そうした中、ついに燃え尽き症候群と診断されてしまったとか。
そのニュースをみて、コロナの影響が長引いていて、収束の兆しがみえないどころか、今後、本格的な第3波に入っていくであろう日本も、これからさらに医療従事者の方の疲弊が心配になってくるんじゃないかと、改めて危機感を感じました。
今回は、そんなニュースをみて考えたことを書きたいと思います。
バーンアウトとはなにか
公認心理師として多少バーンアウトに関する知識があるのですが、バーンアウト(燃え尽き症候群)とは
『人を相手とする仕事を行う人々に生じる情緒的消耗感、脱人格化、達成感の減退の症候群』(Maslach,C.とJackson,S)と一般的には定義されています。
脱人格化とは、あまり普段は聞かない用語ですが、相手に対しての対応が冷淡になったり、事務的になったりすることです。
これまで親切だった人が、急に事務的になったりすることですね。
これは精神的にこれ以上消耗しないように防衛しているもの、といわれています。
バーンアウトは平たくいうと、頑張りすぎて頑張りの限界を超えると、エネルギーがゼロになり、燃え尽きたように意欲を失ってしまうという状態です。
働く人全体が、多かれ少なかれ他者との接点なしにはできないので、バーンアウトする可能性はあります。
でも特に、看護師さんや、学校の先生、介護関係の仕事などの対人援助職はバーンアウトに気をつけなければいけないといわれています。
これは、他の人に自分の感情をコントロールし、表情や態度を演出するという『感情労働』が特に必要とされ、それがけっこう消耗するからなんです。
一時期、残業が多く、生徒のために熱心に活動する学校の先生のバーンアウトも、さかんに報道で取り上げられていたように記憶しています。
バーンアウトを防ぐためには
こうしたバーンアウトを防ぐためには、ソーシャルサポートやリラクゼーションが有効とされてきました。
学校の先生に関する報告でも、同僚からのサポートがあることにより、バーンアウトが低下することが示唆されています。
しかし、このコロナの状況。
自分が勤務する病院に重症者数が増えてくると、同僚もお互いにサポートする余裕がなくなってくるだろうし、できるだけ自分で自分をケアしてリラクゼーションを取り入れるといっても、できる範囲は限られているでしょう。
やっぱり、これから本格的な冬を迎えるにあたって心配です。
私にできることといえば、(自分が感染しないよう注意すること以外だと)少しでも無力感や孤立感を和らげるために、機会をみつけて感謝の気持ちを表すことくらいでしょうか。
今年の2月頃は、特に海外では医療関係者を称える行為(病院から出てきたスタッフさんを拍手で迎える等)がよくみられ、わたしもそれに影響されていましたが、そういえば最近、コロナの状況に慣れ過ぎて、医療関係者に対しての感謝の気持ちが薄れていた気がします。
看護師さんのバーンアウトのニュースをみて、久しぶりに医療従事者の方々のご苦労を思い出し(すみません(^^;))、感謝の気持ちを忘れずにいなくちゃいけないなと思ったのでした。
今日はこのあたりで。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!