シングル&ワーキングママのぽんちゃん日記

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【小説8050】8050というより5020だけど、妙にリアルで一気に読める!【おすすめ本の感想】

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ちょっと前に話題になっていた、林真理子さんの『小説8050』を、読みました。

 

中学時代のいじめが原因で引きこもっていた20歳の息子と、その家族のお話です。

内容は『8050』というより『5020』なんですが、ディテールが妙にリアルで引き込まれ、一気に読むことができました。

 

元農水事務次官の長男殺害事件をモデルにした小説と勝手に思っていたのですが、そういうわけではなく、後半はかつてのいじめ加害者を相手に裁判を起こし、怒涛の展開になります。

 

実際の引きこもり事案は、こんなに上手くいかない場合も多いと思いますが、最後に希望もあり読後感はいいので、オススメです♬

 

では、詳しく見ていきましょう!

 

 

 

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あらすじ

 

主人公は歯科医のお父さん。

元大手企業役員秘書の美人な奥さんと早稲田卒で損保会社勤務の優秀な娘がいて、何不自由ない人生のように見える彼ですが、秘密があります。

 

それは、20歳になる一人息子。

 

有名中学に合格し、医師を目指していたはずの長男ですが、中学校のときのいじめが原因で中2から中学校に行かなくなり、以後、7年間も自室に引きこもったままなんです。

 

昼夜逆転して夜中に活動する長男。

その長男のことで『結婚できない』等という娘。

 

親は、引きこもりの子を立ち直らせるという高額な引きこもり塾や、病院等に確実に移送してくれるという500万円かかる超高額な移送業者の資料を集めたりもします。

(←こういう業者も実際にいくつもあって、トラブルになったりしているので、リアルなんですよね。)

 

長男は家で暴れてパトカーを呼ぶ羽目になったりもします。

 

そんな中、主人公であるお父さんは長男の、『オレはただ復讐したいんだよ!』という言葉を聞きます。

 

最初は

『誰に復讐?』

『親に暴力をふるうということは、復習したい相手は親?』

とも思うのですが、やがて中学時代にひどい虐めを受けていたことが分かってきます。

 

そして、中学時代に長男を虐めていた3人の元同級生を相手に、長男、父、弁護士さんがチームを組んで裁判で戦うことに。

 

裁判途中で長男が自殺未遂をしたり(←車いすにはなるが命は助かる)、加害者のうちの一人が原告(長男たち)側の証人になったりと、裁判も一筋縄では進みませんが、裁判の過程で長男は過去の自分に向き合い、逃げずに戦うことで強くなり、最後は勝訴します。

 

結婚も就職もできないまま、50代になった子供が80代の親の年金を頼って生きていく『8050問題』について、最後の方で長男は

 

『オレは絶対にそうはならないよ。あと30年ある。きっとどうにかするよ』

 

とまで言えるようになります。

 

読後感はいいので、安心して読んでくださいね♬

 

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ディテールが妙にリアル

 

『小説8050』ってディテールがすごくリアルです。

 

あらすじのところでも書いた、めっちゃ高額な費用をとる移送業者の話などもそうですが、引きこもりの子の生活状況などもリアル。

 

『神は細部に宿る』というやつでしょうか。

 

いくつも、『おおっ』と思った箇所はあるのですが、特に、印象に残っているのがこのシーン。

 

数々された いじめ の一つで、長男が教室でズボンを脱がされて写真を撮られ、その写真を加害者の子が近くの偏差値高いお嬢様カトリック女子高の生徒に送信します。

写真を送られた美人生徒が、7年後に裁判で写真を送られたときの気持ちを証言する場面です。

 

私はいったん目をそむけましたが、ちゃんと見なくてはいけないと思い、もう一度見ました。

大澤さん(←長男くん)は、泣き笑いのような表情をうかべていました。

人が尊厳を傷つけられた時によくする顔だと思います。

自分はこんなことでは傷つけられていないと、精いっぱいふるまおうとしていますが、体がついていかない。

だからあんな奇妙ないたいたしい表情になるんだと思います。

(中略)13歳の幼い私が見ても、到底悪ふざけとは思えませんでした。

 

いじめ問題が起こったとき、学校の先生たちや周りの人たちが、『みんなで遊んでいたようにみえた』というのを、よく目にします。

被害者はかなり追い詰められていても、自分の尊厳を保ったり、さらなる加害を防ぐために笑うしかない場面というのは、確かにあります。

 

そういうのを『楽しそうに遊んでた』とか言われたら、『ふざけるんじゃねぇ』ですよね。

 

裁判の場面では、加害者の弁護士から『そのときなぜ警察に相談しなかったか』等、質問されたり、加害者側の尋問も続いていくのですが、そのあたりは、是非、本で堪能してください。

 

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自分の中高時代を思い出す

 

この本を読んでいて、はからずも自分の中高時代のことを思い出しました。

 

わたしは特に親との関係は、良くも悪くもなかったと思いますが、なかなか親にはマイナスなことは相談でいないんですよね。

 

親が思っている私のイメージ(そこそこ肯定的なものと私は思っている)を毀損したくないというか、しんどい&辛いのは外だけで十分で、家ではこれまでどおりの対応でいて欲しいという気持ちが先に立っていたように思います。

 

私の場合、学校ではいじめというのではなかったんですが、クラスで主流派の金持ちの子たちのグループと自分を比較して、『うちはなんて貧乏なんだ。恥ずかしい』と引け目を感じていました。

 

また、学校外で性被害にも遭ったんですが、それも(というかそっちの方が)、親の私を見る目が変わりそうで、とてもじゃないけど全く言えませんでした。

 

中高時代の頃って、本当に気持ちがナイーブで、うまいこと対処するスキルもないので、大変なんですよね。

特に、この本の長男の翔太くんのように、一生懸命に受験勉強をして入ったあこがれの中学でいじめられたら、自分に期待している親の気持ちもすごく分かっているでしょうし、言えないし相談もできないでしょう。

 

せつないです。

 

 

おわりに

 

うちの娘は今、中1。

なかなか学校生活が軌道にのらなくて悩んでいます。

 

そんなこともあって、この本を手に取ったのですが、中学時代の自分も思い出し、ちょっと切なくなってしまいました。

 

しかし小説自体は希望がある終わり方なので、安心して読んでください♬

 

また、仕事(ちょっとだけ心理系)で携わっている人たちの話とリンクするような、リアルな描写も必見です♪

 

 

 

長々と書いてしまいましが、最後までお読みいただき、ありがとうございました!