コロナ自粛明けに、営業再開したばかりの紀伊国屋で、『紀伊国屋が営業している!』と気持ちが浮き立ち、店内に平積みしてあった池上彰さんの『なんのために学ぶのか』SB新書を購入しました。
今回は、その感想です。
池上彰さんの本は、表現が分かりやすく、わたしが知らないこともいろいろ書いてあるので興味深く、読後はお利口になった気分になり、楽しんで読ませてもらうことが多いです。
基本的に好きな著者なんですが、結論から先にいうと、この『なんのために学ぶのか』については、期待外れでした(^^:)
テーマは違いますが、以前にご紹介した、池上さん監修の『なぜ僕らは働くのか』の方が、わたしとしては断然、良かったです。
辛口感想
『なんのために学ぶのか』は、主に大学生を対象に書かれています。
そのため、大学での勉強や就職活動についての記載が散見されるのは当然ですが、それがなんだかテレビや講演で聞くような、浅めな内容なんです。
本の構成も2~3ページの細かく区切られた文章(コラムっぽい感じ)が80編以上収められているのですが、あまりまとまりが感じられません。
池上さん自身が何のために学んできたか、それをどう生かして仕事をしてきたか、一般的な話として何のためにどう学ぶのか、というような大きなくくりはできるのですが、それが一つのテーマとして、収れんされて深くなっているわけではありません。
学びの本質に迫る気概が、感じられない構成です。
『なんのために学ぶのか』というタイトルに過大な期待をしたら、裏切られるかもしれません。
読み終わった直後の感想としては、『もしや、やっつけ仕事?』『あちこちに書いた文書や講演の文書を集めた?』と思ったくらいです(実際は、どうか分かりませんが)。
池上さんの経験談を知りたい人は楽しめる
池上さんがNHKの記者からニュースキャスター、『週刊こどもニュース』のお父さんになったことや、NHK退職を決意するに至った経緯、また、そうしたキャリアの節目節目でどう勉強してきたか、などが書かれているので、池上さんのキャリアや学びに興味のある方は、十分楽しめると思います。
また、池上さんおススメの本が何冊か紹介してあり、その中の、文部省著『民主主義』という戦後すぐに出された本は面白そうなので、今度、読もうと思っています。
そうした興味深い記述は、ちょこちょこあります。
おわりに
MITやハーバードなどの欧米の有名大学は、学部の4年間をリベラルアーツの修養に費やし、専門教育は学部のあとの大学院でというのが主流。
そうしたことをあげて、教養の大切さが生きる上で必要ということが書かれています。
『学びとは、決して人から盗まれることのない財産です』ともおっしゃってます。
それはそうなんでしょうが・・・。
リベラルアーツだけで社会が回るわけではないですし、もう一歩すすんで、学ぶことが人にとってどう役立つのか、いま必要な学びとは何か等を、池上さんの視点で語ってほしかったです。
そこは、自分の頭で考えろということなんでしょうね。
頑張ってみま~す。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました!